Queenライブから学ぶ照明のススメ
こんばんは、凜です。
コロナ太りという単語をよく聞きますがいつもに増して怠惰な生活を送る俺は腹をくだし続けカロリーを全て便に流し痩せる一方です。腹痛持ちは太らない。←これ真理
さて今回のテーマはライブの楽しみ方についてです。
恐らく1から2公演ほどコロナのせいで中止となり半べそ状態で仕方なく円盤見て楽しんでいる方も多いでしょう。
街の皆さんはライブの醍醐味とは何だと思っていらっしゃるのでしょうか?
実際に聞いてみました。
Qさん(20代・会社員)「セトリ」
Uさん(10代・学生)「会場の一体感」
Eさん(20代・学生)「生演奏」
Eさん(40代・主婦)「出演者の衣装かな?」
Nさん(20代・社会人)「現地でエンカする仲間達との交流」
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喝だ!(張本勲)
いずれも重要だけど一番はそこじゃない。
そもそも売れてるアーティストなら歌とか演奏が上手かったり衣装がオシャレなのは当たり前。
アーティストのステージへのこだわりが一番顕著に現われる、ライブの出来を一番左右するモノ、それは....
照明。
みんな大事なものだと知っていながらあまり工夫に気づかれない照明演出。
ライブ終わった直後20分ほど続く何も口から言葉が出てこない放心状態の後、連番した人との会話や飲みの席で感想をあれこれ語り合う時あまり語られる事がない照明演出。
皆さんはライブを見ている間照明がどのように動き、どんな光線を描くライトの何の色が曲のどのパートで使われ、それによりステージ(or会場全体)にどんな印象を作り出しているか考えながらご覧になっているでしょうか。
近年はモニターを使った映像演出、舞台をオシャレに飾る数々の大道具など照明以外の演出も安く出来るようになり、ドームを埋めるような超有名アーティストさんなら当たり前の様に見られるようになりました。
しかし今から40年ほど前、そんな技術なんぞ存在しない時代にいち早く照明の持つ力に着目し、ドラマティックに最大限使いこなす事でライブの可能性を格段に拡げたロックバンドが存在したのです。
という訳で
この問題が解けたらあなたのIQは118相当
1. 私たちは1972年ロンドンで生まれました
2. 私たちのレコードの総売り上げは2億枚以上です
3. 私たちは初めて商業的なミュージックビデオを作成しました
4. 私たちはとある楽曲の歌詞の一部に日本語を使いました
5. 私たちは空耳アワーで最もネタに使われています
6. 私たちのうちの一人はすでにこの世を去りました
7. 私たちのうちの一人は南米で飲酒運転して捕まり後に他のメンバーが書いた曲の歌詞でそれをネタにされました
8. 私たちのメンバーの伝記映画が2018年に公開され大ヒットしました
私はだ~れ?
答え:Queen
スッキリ!スッキリ!
Queenファンに「Queenのライブで一番好きなのは?」という質問をするとやはり「ライブ・エイド」と答える人が一番多いです。
俺もライブ・エイドをノーカット全編見てます。やはりQueen以上のパフォーマンスをしたアーティストはいません。つか正直QueenとDo they know it's christmas以外みんな退屈まであるフレディの喉の調子も、演奏も、観客のノリも最高。映画の一番の見せ場に完全再現で使われるだけありあの25分は伝説的です。
が、ライブ・エイドでのパフォーマンスを見て「Queenのライブって凄いんだな!」とか言う奴は早漏。
だってワンマンライブじゃないから仕方ないんだけどさ、とにかく動き回るフレディにあの舞台はだいぶ狭そうだし、衣装は私服だし、何より照明がフツーだし効果が薄い。
Queenの地力があってこそ舞台と楽器以外何も用意されてないあの大舞台で伝説となった事に疑いの余地はないですが、見てない方には演出をフル活用したワンマンライブの映像を是非ご覧頂きたい。
ここからは時系列にQueenが実際に使用したライブの照明について語ります。今から40年以上前のバンドがやっていた事だという事を念頭に置いてご覧下さい。ここではやらないけど他の同時代のトップロックバンドと比べてみれば差は歴然です。
勿論他のバンドを否定してるわけじゃないけどね。
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1977 A Day At The Races Tour
まだ普通ですね。どこにでもありそうな感じ。
しかし6月6日と7日、ロンドンはEarls Courtでの公演はこの年戴冠25周年を迎えたエリザベス女王のため巨額を注ぎ込みステージ上に無数のライトを取りつけた巨大な王冠をわざわざこれだけのために作りました。
こちらも参照
QUEEN LIVE IN LONDON 1977とは (クイーンライブインロンドンとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
ライブの最初、ブライアンが弾く上品なリフと共に王冠がゆっくり上昇してステージが顔を見せる光景は超ダイナミックで見る者全てを熱くさせます。(下の動画の0:30~)
これには女王様もニッコリ
余談ですが北条加蓮がTrinity Fieldで考案したあの巨大三角錐オブジェもこの王冠から発想を得たと言われています。
1978~1979 Jazz Tour (LIVE KILLERS)
4色のライトを1枚の板に並べたような(?)とにかくドでかい特注品。これだけでは飽き足らずドラム台にまでライトを敷き詰め、さらに雷神様の連鼓の如くドラムの周りも電球で囲まれる始末。かっちょ良すぎ。
全く関係ない話ですがこのツアーの来日公演でなぜかQueenは山口県とかいうふざけた田舎でライブを一晩やっています。いくら故郷と言え世界一のバンドにド田舎でライブさせるのはあかんだろ安倍晋三
1980~1981 The Game Tour
巨大1枚板のようだったJazz Tourのものが自在に動き自在に傾く7枚の板に変わり、このツアーでは照明の使い方が非常に多彩になりました。
それがよく分かるのが「Get Down Make Love」という曲でのパフォーマンス。
見て頂ければ分かりますがなんと途中で突然ギター、そしてフレディのスキャットによる即興演奏に曲が変わります。(レコードの原曲ではこんなパート一切存在しません)
さらに不規則に点滅してそれを妖しく魅せる照明とドライアイスが実に絶妙。
ロックバンドのコンサートでこんな変な演出今まであったでしょうか?
またみんな大好き「Bohemian Rhapsody」も必見です。
Queenはライブの際途中のオペラパートではレコードをそのまま流すという荒技を使い続けています。
必見なのは照明がオペラパートの音に合わせて点いたり消えたり、声に合わせ色を変化させている所。(しかもビミョーにズレているのがまたたまらない)
大量の照明があるからこそ出来る面白い試みです。俺はこれが非常に好きであります。でも全体的には1986ウェンブリーのパフォーマンスに劣るんだよなぁ...
1982 Hot Space Tour
右の写真には青がないんだよね
7枚の板が今度は縦長の板3枚に変化し、その間に何と説明すればいいか分からない3つずつスポットライトを搭載した特製ライト2つ。
先ほど紹介したGet Down Make Loveやこのツアー以降演奏されず、ボヘラプのオペラパートの音ハメ演出もこれ以降見れなくなりました。あぁん?なんで?
照明関係ないけどこのツアーはこの年にしか聴けない新曲を是非レコード盤と聞き比べて欲しい。
【レコードver.】
グルーヴ感マシマシの神アレンジ。ヘビーなドラムとギターが最高にロック。
この曲に限らずレコード盤通りに演奏しないのがクイーンの偉い所。(QALは知らない)これほんと全バンドが見習うべき。「Action This Day」「Back Chat」なども聞き比べると面白いので是非。
1984~1985 The Works Tour
ライトの数が数倍に増えて天井を完全にカバーするようになり、ドラム台のライトは撤去され代わりに微妙に空いてる階段の隙間からドライアイスが出て来るように変化。室内公演が多かったしサウナ並にステージ暑かっただろうなと思う。
このツアーの時期リオでRock in Rioというどデカいロックフェスが行われた時の照明もこのデザインが何故か採用され、クイーンのみならずAC/DC、ガンズ・アンド・ローゼズなど当時のトップアーティスト達がこのライトの下演奏しています。
ただ肝心のツアーは本格的な撮影が行われた映像が全然残ってないし僅かに残ってるものでも画質も音質も映像のカットのセンスも悪いので鬱。ライブエイド見よう
1986 The Magic Tour
これエグない?
ついに天井のみならず壁全体余す事なく照明で埋め尽くすという巨大スタジアム弾丸ツアーに相応しい恐らく現代でも類を見ないレベルの多さ。集合体恐怖症卒倒不可避。クイーン特有大量のドライアイスが最高に映えます。
しかもスケジュール的にある所でライブやっているのと同じ日に別の所ではステージを建設中でまた別の所では解体してたみたいな事をどっかのインタビューでスタッフが語ってた気がするから写真の3倍以上の数の照明を合計で使っていたということになり、かかった予算が気になる。それでも最後黒字で終わったらしいからすごい。
このツアーの映像は殆どのカメラが4人しか追ってないので舞台全体を映した引きのショットが少なく、どの曲のここの照明が憎いとかあまり言えないんだけど総合的に最高のショーである事は絶対間違いないので是非円盤で楽しんで頂きたい。
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さて、照明の世界はいかがでしたでしょうか。
見比べてみると面白いものです。皆さんもこれを機に演者だけではなく照明など演出にも注目してライブを楽しんでみてください。
私は、『上の世界』で皆様をお待ちしています。
それでは今日はこれまで。バーイ、センキュー。
そろそろクイーン関連の書籍執筆依頼やコメンテーターのお仕事とか来ても良いと思う。
ご連絡はツイッターのDMまで。